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ワインの知識

 ボトルショック 

ワインは発酵後、木樽もしくはステンレスタンクなどで熟成します。この熟成の期間はまちまちですが、熟成後に瓶詰めします。そしてしばらくおいてから市場に出荷されます。

瓶詰め直後に出荷されません。これは液体としてのワインを瓶詰めすると、いままで安定静置していた状態を一気に動かし瓶に分け入れることになるからです。その結果瓶詰め直後のワインはバランスを失い荒さが目立つ状態になります。いままで寝ていた子どもにいきなりビンタを食らわすようなことなのです。ワインの機嫌が悪くなるのも当然です。

この状態は基本的には回復しますが、回復に要する時間はワインによって様々で一概に言えませんが、1ヶ月から半年位はかかります。どちらかというと濃厚で酸の多いワインほど時間を要するようです。

このボトルショックと同じような現象が輸入直後にしばしばみられます。そのため桝久では通関直後のワインはしばらく寝かせるようにします。

長い船旅や車による移動で、ワインは振動を受け続けダメージを受けます。このため通関直後のワインと、そのワインが数ヶ月安置された状態では味わいが驚くほど変わります。入荷直後にはイガイガした味わいが、ビックリするほど飲みやすくなっていることがしばしばあります。まさにボトルショックと同じような現象なのです。

現地の蔵元で試飲するとき、瓶詰め直後ですとまだワインが安定しておらず、この点割引いて試飲しなくてはなりません。良い状態に出来上がったワインを想像しながら試飲しなくてはなりません。ですから現地で瓶詰めしたばかりのワインを試飲するのは快楽を伴いません(笑)。ましてやバレルサンプルとなると更に辛いです(笑)。

逆にバレルサンプルが美味しく出来上がった状態ですと信頼できません。

厳密にいうとボトルショックと輸送中の振動によるダメージは違いますが、同じような状態なので私達はボトルショックと呼んでいます。ただし輸送中もしくは保存中に熱を受けてダメージを被ったワインはまず回復しませんので、念の為。

社団法人 日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
岡本 利秋

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