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ワインの知識

 ドメーヌ・コアペ マスキュー的考察 

ジェランソンはフランスとスペイン国境近く、ピネレー山脈の麓の白ワインのアペラシオン。大西洋に注ぐポー川の南側にアペラシオンはあります。背中にピネレー山脈を背負って北西に面しますが、浸蝕された段丘が連なるため日当たりの良い斜面も多くあるようです。

ドメーヌ・コアペはポーの町から2〜3km北西のネストルにあります。標高は高いところで400mほどのジェランソンの西部の高台。いかにも、ピネレー山脈の麓の里山です。

土壌はブールベンヌと言う硅土質で水捌けの良い土壌。気候は、海洋性気候とピネレー山脈の影響により、秋に乾燥する気候が特徴です。遅摘みに適しています。
このように葡萄果の糖度が上がり易いジェランソンの甘口白ワインの歴史は古く、「ナントの勅令」で有名なアンリ4世の洗礼式に使われたとか。
古くから甘口白ワインの酩醸地として知られていました。

ドメーヌ・コアペは1980年にアンリ・ラモントーさんが設立。酪農、果物、小麦、トウモロコシなどを栽培するプリミティブな農家に生まれ育ったラモントーさん。もちろん葡萄も栽培していましたが、いわゆるワイン専業農家ではありません。
1975年にワイン作りに目覚めたそうです。なんと!そのための知識は、ほとんど独学だそうです!
そしてドメーヌ設立後の1989年のヴィネクスポで「世界の厳選甘口ワイン」で第5位の栄冠を獲得!一躍スターダムにのし上がりました。
遅摘みのパスリヤージュ(樹上で干し葡萄のようになるまで収穫しない。)に適した、小粒で皮の厚い晩熟性のプティ・マンサン種は、手をかけるだけ成果が上がります。
完熟したプティ・マンサンは琥珀色に輝く宝石(写真下左)。その葡萄果を吊す茎の部分に切れ目を入れることで、葡萄果の乾燥を進める斬新な方法をとります(写真下中)。切れ目から水分がしたたり葡萄果が干し葡萄状になり、天然糖分が272g/l以上になるとヴァンダンジュ・タンディヴの出来上がりです(写真下右)。

なんとアルコール換算で20度を上回ることも!
ただ収穫量が極めて少ないために採算が合いません。それだけに特化するにはリスクが大きいのです。採算ベースに載せるため、グロ・マンサンを加える生産者がほとんどです。そんな中、とことんプチ・マンサンにこだわったラモントーさんらしい中央突破の立志伝です(笑)。雪が降ってもまだ収穫を待つほどの、信じられない努力・胆力が必要なのです。

ところで、ジェランソンが甘口白ワインでアペラシオンを取得したのが1936年と古く、1975年にはジェランソン・セックそして1996年にはヴァンダンジュ・タルディヴのA.O.C.を取得しています。ドメーヌ・コアペの登場とジェランソンの辛口白ワインの生産の躍進が重なっているところ興味深いですね。

現在ドメーヌコアペは43ヘクタールの地所を有します。個人経営のドメーヌとしてはジェランソン随一の規模。15名ほどのスタッフで切り盛りする効率の良さ。ドメーヌというより、ニューワールドの葡萄園経営ですね。

畑は山の斜面に、陽光に沿うように葡萄樹の畝が続きます。これだけでも壮観!

密植された葡萄樹はV字型に高く仕立てられ完璧なキャノピーマネジメント。枝を高く伸ばすことで陽光をたっぷり浴びさせています(写真下)。ニュージーランドやアルゼンチンといったニューワールドの畑みたいですね(笑)。葡萄樹の畝が幾重もの壁のようで、まさに壮観です。ただニューワールドのような平地ではありません。機械の入らない斜面の畑でこの様は信じられません!実際ワインの畑の面積も葡萄園の地所の半分くらいかと。

1本の葡萄樹には15房ほどの葡萄の房、3割くらいはグリーンハーベストで落としているようです。防鳥ネットもしっかり張っています。

うーん。 手の入れようは半端ないですね。

ところでドメーヌ・コアペは、手のかかるプティ・マンサンを軸に、甘口ワインから辛口のジェランソン・セックに生産の中心を移していますね。甘口白ワインの生産量は絞っています。ラモントーさんの戦略が見えます(笑)。ワインの販売本数を伸ばしたいようですね。ただし、質を落とさないところが凄いのです。

現在ドメーヌ・コアペのジェランソン・セックのラインナップは4種類。

プティ・マンサン100%が最上級の『ラ・カノペ』。アルコール分は16%近く、辛口としては限界ですね。
その下の『セーヴ・ドトンヌ』はプティ・マンサン30%、グロ・マンサン70%。アルコール分は15%もあります。
そして『ジェゼー』伝統品質5種類、プティ・マンサンも30%。ステンレス・タンクで造られるスタンダード・キュヴェではありますが、プティ・マンサンが入ることで深み複雑さがあります。アルコール分も14.5%ありますから、堂々としたものです。
『シャン・デ・ヴィーニュ』はドメーヌが一番売りたいワインです(笑)。生産本数も一番多いはず。プティ・マンサンは入らず、グロ・マンサンとカマラレで造られています。一番下のランクですがアルコール分はそれでもなんと14.5%。完熟した素晴らしいフレッシュネスはキック・インサイド(笑)。

このラインナップでお気づきでしょうが、プティ・マンサンの量と質でキュヴェをランク分けしています。
通常フランスの生産者は畑を拡張する時は新しい畑の名前を、そのワインにつけます。それにより、新たな付加価値を目指す訳です。
ドメーヌ・コアペの場合はプティ・マンサンを軸にすることで、キュヴェのランク分けしますから、品質が安定します。プティ・マンサンの代わる物がないほどの高い品質を上手く利用している訳です。発想が斬新です。
トカイのプットニュスがヒントですかね?
私はこれを『プティ・マンサンの5段階活用法』と名付けました(笑)。
4段階ではありません。甘口の『カンテサンス』が後ろに控えているのが見えませんか(笑)?

ラモントーさんは、品質を落とさず、しかもビジネスとしても成り立たせる手腕・力量ともに傑出しています。
しかも専門教育を受けずにここまで到達するとは!
驚くべき素直な探究心と行動力!
ワイン界の田中角栄(笑)。
でも、日本の農業のD.N.A.には無さそうですね。

凄い人がいました!

※本文掲載の映像はコアペのホームページから許可を得て転載しました。
楽しいホームページですから、是非ご覧くださいね。


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