ワインの知識・ワイン事典マセラシオン・カルボニック Macération Carboniqueよく醸造方法でマセラシオン・カルボニックや、その略語でM.C.をかけるなど言ったりします。 このマセラシオン・カルボニックは炭酸ガス浸漬法と呼ばれます。 基本的には、葡萄を潰さず房ごと密閉したタンクに入れます。この際、アルコール醗酵がすぐ始まりますから、炭酸ガスが自然発生します。葡萄の糖分がアルコールと炭酸ガスに変わる訳です。比重の重い炭酸ガスが酸素をブロックしますので、酸化リスクが低減します。また、一週間ほどでワインが出来上がりますので、新酒造りに適した醸造方法と 言えます。 出来上がったワインは醸し期間が短いため、タンニンの薄い(色も薄い)華やかなフルーティーなワインとなります。キャンディーのような香りが特徴的です。早飲みの代表ボジョレー・ヌーヴォはガメイを使用しますが、他の産地で違う品種でマセラシオン・カルボニックをすると、同じようなキャンディーの香りがします。最近のイタリアのノヴェッロがマセラシオン・カルボニックを使う傾向です。 まあ、極端に言えば、桶の中に葡萄を入れて蓋をしておいたらワインが出来ていた(笑)ような、プリミティブな技術と言えます。 ただ、今現在は葡萄を除梗し、タンクを低温にすることでアルコール醗酵をブロックして、抽出に重きを置きます。もちろん炭酸ガスも注入します。抽出と醗酵を分けるのがトレンドのようで、マセラシオン・カルボニックは抽出のために行われているようです。 低収量で栽培された凝縮した葡萄果をマセラシオン・カルボニックでワインを造ると、フルーティーで薄旨いワインができます。品が良く、奥深さのある優れたワインなのです。もちろん早く飲めますが、味わい深く癒されるような優しさがあります。(大量に垂れ流されるボジョレー・ヌーヴォにはありませんが。) いわゆる自然派の生産者が多用する傾向にも道理があるようです。 アメリカナイズされたタニックな濃いだけのワインのアンチテーゼに繋がる流れも見逃せません。 >> ワインの知識トップへ |