ワインの知識 パストゥーグラン研究
ところで一般にパストゥーグランはピノ・ノワール1/3、ガメイ2/3のセパージュの割合と言われていますが、正確にはピノ・ノワールが1/3以上、ガメイが2/3以下の割合で混醸したもの。ピノ・ノワールとガメイは同じ区画で栽培されたものに限られます。 実は私パストゥーグランはアリゴテ同様に、農家の自家消費用ワインのイメージがありまして、ほとんどノー・マーク(笑)。実際向こうのドメーヌを訪ねてもパストゥーグランやアリゴテの畑なんか案内しません(笑)。 ところが今やアリゴテもパストゥーグランもブルゴーニュワインとして脚光を浴びています。有名どころのパストゥーグランなんか1万円の値段がついてることもあります。そんなこんなでちょっと再勉強しちゃいました(笑)。 同じ区画にピノ・ノワールとガメイを植えるって常識的には不思議(笑)。たしかにピノ・ノワールはガメイから枝分かれした品種ではありますが、収穫時期が違います。とはいえブルゴーニュではそうしてきた訳ですから、収穫時期が重なる。一般にいわゆる混植をすると収穫期が同じようになると言われています。オーストリアのゲミシュター・サッツやドメーヌ・ルージュ・ブルーの白なんかそうですね。とはいえアベラシオンの規定では『葡萄果汁を混ぜて発酵させる。』と玉虫色(笑)。なかには収穫期がずれることがあるので、どうやら収穫の早いガメイを果汁としてストックしておくこともあるようですね(笑)。 あと、基本的にピノ・ノワールとガメイでは熟成のスピードが違いますから、混ぜることはミス・マッチです(笑)。でも早く飲めるブルゴーニュワインとしては有りなのでしょうね。長く熟成させるようなワインではありませんが(笑)、少なくともそのドメーヌで造るピノ・ノワールよりは早くしかも安く飲める訳ですからね(笑)。もちろん良いドメーヌは手を抜かずに栽培しますから、パストゥーグランは馬鹿に出来ない味わいのワインとなります(笑)。ワイン自体の生命力はボジョレーを凌ぐはず。 あと味わいで感じたのですが、ブルゴーニュで造るガメイはとてもしっかりした固くて酸っぱいガメイになり勝ち(笑)。クリュ・ボジョレーのモラゴン(マスキュー扱いのモリエール等)などでみられたピノ・ノワール的なガメイとは違いますね。ボジョレーの花崗岩土壌とブルゴーニュの石灰質土壌の差?ピノ・ノワール的なガメイはいわゆるビオ系の生産者のワインに多く見受けられます。収量を徹底的に抑え、マセラシオン・カルボニック法で醸し、いわゆるフリーランジュースのみでワインを造っている生産者のもの。一見ピノ・ノワールだとしか思えませんが、開けてからの変化が早くピノ・ノワール本来の強さ固さとはちょっと違うかな(笑)。話を戻すとパストゥーグランのガメイは逆にとてももガメイらしいのです。たしかに香りはピノ・ノワールと共通してはいますが、飲むとガメイっぽさが目立ちます(笑)。ピノ・ノワールの比率が高い2014年のジャイエ・ジルのパストゥーグランも然り。そうすると考え方を変えて、ボジョレーのピノ・ノワール的なガメイの方が異例と考えるしかない。ブルゴーニュのガメイはあくまでもピノ・ノワールが早く飲めるようなアシストをする存在と考えれは府に落ちる(笑)。ブルゴーニュにピノ・ノワール的なガメイは必要ないですもんね。ちゃんとピノ・ノワールを造っていれば良い訳ですからね(笑)。ブルゴーニュの生産者もその辺が解っている。ガメイでもピノ・ノワール的なワインは作れるが、それをしても意味がない。なんたってピノ・ノワールは高く売れる(笑)。ブルゴーニュのピノ・ノワールは今の形になるために長い時間をかけた一つの文化。とはいえ30年前のピノ・ノワールと今のピノ・ノワールのあり方は全く同じとは言えないと個人的には思います。何十年もの熟成を遂げるような古典的なピノ・ノワールの少ないこと(笑)。毎年微妙に変化しながらいつの間にか全体がだいぶ変わっていた?ブルゴーニュのピノ・ノワール至上主義が、それ自体が自家中毒に向かっているような気もします。新しいピノ・ノワール的なワインの流れに同化して、その過程で飲み込まれているような感覚。文化としてのブルゴーニュ・ピノ・ノワールがあるとしたら、もうそのピークは終わっているように思います。まあ、それも飲み手が決定するのでしょうが、ブルゴーニュのピノ・ノワールが爛熟の極みにあるのは真実。それは造り手、売り手、飲み手が作り上げたもの。それを日本のピノ・ノワールがその壁を破るかもしれません(笑)? 冗談はさておき、ピノ・ノワール栽培に適した地がブルゴーニュだけではありませんからね。もっともそうした適地はブルゴーニュ的な商売に熱心なのは気に食いませんが(笑)。そろそろデイリーで美味しいピノ・ノワール的なワインが出てくるかな(笑)?期待しております。そうなったときブルゴーニュが更なる発展・進化を遂げているかも?それはそれで価値あることとなるのでしょうし、そうした宿命をブルゴーニュが担っているのも真実かな? こんな批判的なことを言っても『たまには美味しいブルゴーニュのピノ・ノワール飲みたいなぁ。」なんて思っている私なのです(笑)。 >> ワインの辞典topへ |
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