ワインの知識 / ワイン事典
甘口のお酒は、おいしい。特にワインの甘さは自然でやさしく、いいものです。 フランスではSauternes(ソーテルヌ)。ドイツではAuslese(アウスレーゼ)やBeerenauslese(ベーレンアウスレーゼ)、Trockenbeerenauslese(トロッケンベーレンアウスレーゼ)、極めつきのEiswein(アイスヴァイン)。イタリアはVin Santo。思いだすと口の中に幸せがひろがります。 ところで、フランスには葡萄を使っているけれどワインとはちょっと違うお酒があるのをご存じですか。今の日本の酒税法では甘味果実酒に分類されると思いますが、ブランデー等のアルコールを加えてつくられた酒精強化酒(フォーティファイドワイン)です。甘味果実酒・酒精強化酒という漢字の並びをみていると砂糖や人口香料を加えたりする、あるいはスピリッツ(焼酎やウォッカ)に糖分と共に果実を漬けるのかなと考えがちですが、フランスの場合はさにあらず。あくまで葡萄を主体にしたものです。それがVDNとVDL。VDNとVDLについてかんたんに説明しましょう。 VDN=Vin Doux Naturel 葡萄を収穫しふつうのワインをつくるように発酵させます。その発酵中のワインにブランデーを添加し発酵を止めてしまいます。つまり、発酵を止めたことによって葡萄のもつ天然の(=Natuel)甘さ(=Doux)がアルコールに転化されずにそのまま残るということです。1L中に250g以上の糖分が残ります。ですから、飲んだ時に不自然さがないのですね。その後、樽・瓶で熟成させます。熟成期間は通常2〜3年。長いものは10年以上。多くの場合、熟成期間が長いほどなめらかで深い味わいになります。若いものは、舌にざらつきが残り粒子が粗く溶け込んでいない印象があります。古いものは粒子がまるく、完全に溶け込んでいます。VDNは使用する品種によって大きく2つに分けられます。ひとつは芳香に富むミュスカ種を使うもの。もうひとつはアルコール分が強くフルーティなグルナシュ種を使うもの。代表的な産地は前者がコート・デュ・ローヌ南部、後者がルーション地方です。 >> お薦めのヴァン・ド・ナチュレ:ヴィユー リヴサルト1959 VIEUX RIVESALT 1959 VDL=Vin de Liqueur ヴァン・ド・リクール 収穫してきた葡萄を搾り果汁を得ます。その発酵していない葡萄果実に蒸留酒を加えて樽・瓶で熟成します。糖分は1L中170g以上存在します。代表的なものにコニャック地方のピヌー・デ・シャラント、シャンパーニュ地方のラタフィアがあります。なお、ノルマンディー地方のポモ・ド・トルマンディというお酒、これはりんご果汁にカルヴァドスを加えて作るVDLです。VDLは長く熟成させたタイプの他に、比較的早くから楽しめるタイプもあります。 VDNとVDLはどちらも とても おいしいお酒なのですが、残念ながらどこにでもおいてあるという商品ではありません。値段も結構高いし...。私自身VDN・VDLに関してはまだまだ経験不足。飲み比べた回数は数えるほどです。でも、そのたった数回ですっかり魅力にはまってしまい、忘れられません。しゃれた大人のBarにはおいてあるかも知れません。みつけたら、最後の一杯にぜひ試してみてください。
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