ワインの知識・ワイン辞典
アッサンブラージュの天才。 ラファージュさんの異名です。この意味は単純に言えばワインのブレンドの天才ということなのです。違うワインをブレンドすることがうまく、単一に醸造したワインを上回る出来のワインを、ブレンドすることで作り出す天才ということです。 その手腕を請われ世界中のブドウ園を飛び回っていますから、プロの世界で高く評価されています。 ドメーヌ ラファージュは南フランス ルーションにある170ヘクタールもの広大なブドウ園です。たしか1600年代に設立された古いブドウ園です。今のラファージュさんは6代目の当主になるとか。 つまり広大なドメーヌの畑のミクロクリマに精通しているのです。それゆえミクロクリマにあった品種の作付け、栽培法、収穫時期の差異など把握しています。 それは単に長くワインづくりを行なっているだけでは成し得ないことなのです。比較的容易にワインがつくれる南フランスは大量のワイン供給源であり、同時にそれは銘釀ワインの対極にある誰がつくったのかも分からない安価な特徴のないワインの産地として長くありました。 そんな状況にあってもドメーヌ ラファージュでは勤勉と研究が脈々と続けられていたのです。何代、数百年にも亘る試行錯誤の蓄積があったのです。ブドウ園のどこにはなんの品種を植えるべきか、またどこの場所では収穫が早まり、違う場所では収穫が遅れるなど、傾斜地を含む広大なブドウ園ではミクロクリマが組み合わさっています。その中で最良、最大の収穫をあげるために数多い試行錯誤による経験の蓄積があったのです。 それがあったからこそ、ラファージュ家のDNAを受け継ぐ現当主ラファージュさんが結果を出せたのです。 最良の栽培法(低収量と低農薬使用)と、ミクロクリマとブドウ品種のベストマッチが彼の基本なのです。それがあってのアッサンブラージュなのです。 大理石とシストからなる標高400メートルの傾斜地 レ ザスプル 泥炭土とフレイキーシストの堆積するアグリ川沿いの灼熱のテロワール アグリ 海沿いの涼しい砂利質の土壌の ラテ 大きく円い石がゴロゴロしている ガレ ルーレ などのテロワールに沿って最良のブドウを栽培しヴァラエタル(ブドウの単一品種名‐例えばカベルネ・ソーヴィニヨン等)に頼ること無くワインの銘柄としてリリースしています。 ある特定のテロワールに植えたシラーやグルナッシュをアッサンブラージュすることが最良の結果を出すことを知っているのです。また或るテロワールではシャルドネのみが最良の結果を出すことも知っているのです。 濃いワインに薄いワインを混ぜるのもアッサンブラージュではありますが、それは単なる水増しにしかなりません。アッサンブラージュすることでブドウ品種それぞれが本来持つ長所を際立たせ短所を隠すことが理想なのです。それによりエレガントさやフィネスを感じることができるのです。彼は多彩なミクロクリマの中にそうした選択肢を見出し、操ることが出来るのです。 (単一品種からなるブルゴーニュとは根本的にアッサンブラージュの思想が違いますし、ボルドーのようにリスク回避のための混植に由来するアッサンブラージュとも違います。さらには無理に畑を広げセカンド、サードとして販売するようなこととは無縁です。) また、彼のドメーヌ運営を語ることで欠かせないのは、少数の人間だけで運営されていることです。 少人数で何故出来るのでしょう? 集約効率化と高品質を両立させることができるのです。ワインづくりは大規模なブドウ園ではなかなか品質を高めることが難しい側面があります。穀物ではない嗜好品であり、酸化腐敗のリスクが高いワインづくりでそれをなすことは、旧来のワインづくりの発想では無理なのです。それはワインづくりに完璧なスケジュールがあり、テロワールの差異を逆にうまく利用しているのでしょう(例えばテロワールごとの収穫時期のズレなど)あと情熱と勤労のモチベーションが高いことも当然なのでしょう。 現在注目されている南米などの新世界のワイナリーは数百ヘクタールもの広大なものです。それだけ広いと当然ミクロクリマが存在します。そしてそれに対応した品質の高いワインづくりを目指すのならば、ラファージュさんのワインづくりの経験が役に立つ訳です。 オーストラリアやカリフォルニア的発想を進化させているとも言えます。 いかに効率的に非効率を成遂げるか?が命題かのようです。 とはいえラファージュさんは魔術師ではありませんから、彼がかかわっている新興のワイナリーですべてに結果を残すには時間がかかります。1年に1度しかワインは栽培収穫できませんから。既存のブドウだけですと、うまく行く部分が自ずと限られてきます。ラファージュさんといえども、何年にもわたる試行錯誤が必要とされます。自身のドメーヌのようにすべてのラインナップが高く評価されるには、やはり時間がかかります。 彼が天才的なのは木樽の使い方です。樽香がでしゃばり、ワインのアロマの邪魔になるような使い方はしません。 そのため木樽とステンレスタンクを使い分けたり、様々な工夫をします。出来上がるワインをすでに分かっているとしか思えない程の腕前なのです。 まるでブドウ果のすべてを知っているかのようです。 恐るべしラファージュ! こんな訳で、ラファージュ教 教祖 岡本 利秋 を勝手に名のります。お許しを(笑)。 どんどん深みにハマってゆく自分が可愛い(笑)? 社団法人 日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
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