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ワインの知識・ワイン辞典

 シャンパンの基礎知識

シャンパンっていいですよね。

私など結婚式の披露宴でシャンパン飲み放題なんて言われたら、最初から最期までシャンパンを飲み続けます。
絶対に!(やけに力が入る。)
私のようなシャンパン好きって結構いますよね。

ところでシャンパンのどこが好きなのですか?と質問されるとちょっと困りませんか?

華やかな泡立ち。
切れることのない泡立ち。
木の根やナッツの香り。

確かに泡立ちは大きな魅力ですし、木の根の香りは深みに通じますが。

そこで味の整理をしてみます。

基本的にシャンパンは、白ブドウであるシャルドネ種と黒ブドウであるピノノアール種を主体につくられます。

補助的にビノムニエ種という黒ブドウが入ることがありますが、あくまで補助品種なので割愛します。

白ブドウのシャルドネ種だけでつくられたシャンパンはブラン ドゥ ブラン、黒ブドウであるピノノアール種だけでつくられたシャンパンはブラン ドゥ ノアール(黒ブドウから白ワイン)と呼ばれます。

また一般にはピノノアールとシャルドネをブレンドすることで大概のシャンパンはつくられます。

そのブレンドの理由は?
ピノノアールはシャルドネに比べると重さがあるため、全体のボディーバランスを保ち、個性を表現すると言われていますが?
確かに一理あるとはおもいますが。とりあえず置いておきます。

シャルドネ種の香りは、桃やアプリコット、グレープフルーツなどのいわゆる白い果実(柑橘系)の味わいが表出します。
ピノノアール種の香りは、チェリー、ベリー、フランボアーズなどの赤いベリー系の味わいが表出します。

シャルドネ種とピノノアール種をブレンドすることで両方の要素すべてを兼ね備えることは理論的にはできますが、なかなかそうはいきません。
どうしてもピノノアールの香りが強く勝ってしまいます。
ですから味わいとしては、白い柑橘系か赤いベリー系のどちらかに果実味は偏りがちです。
雑誌などのシャンパン特集を読むと、ソムリエ諸氏のティスティングコメント、表現方に法則があることが分かりますね。果実味の表現が白い果実か赤い果実に別れます。(まあ、それは余談になりますので…)

なにが言いたいのかというと

『絶対に大事なことはフルーティーであることです。』

冷涼なシャンパーニュ地方において希求され、珍重されるべきは果実味なのです。
果実味とあの変わるべきものがない泡立ちとが両輪をなします。
シャンパン特有の木の根やナッツの香りが主となる訳ではないのです(もちろんシャンパンの大事な味の要素ですし、シャンパンに深みを与え果実味を際立たせる役目がありますが。)

『果実味のないシャンパンが多すぎます!』

シャンパンのフルーティーなところが好きと言う方の少ないこと少ないこと、
なぜあんなに高くても美味しくないのか?

「水っぽくて汗臭い発泡性の白ワイン」なんて悪口も言われます。(一応私ではありません。その気持ちは分かりますが、)
4000〜5000円払ってこれでは、怒りたくなりますね。

現在のひっぱくしたシャンパン需要もあり、品不足の状態が続いており、値段の高騰が止まりません。
主に大手シャンパンハウスのブランドシャンパンがとんでもない状態です。
軒並み30%以上の値上がりです。

買い手が多く、需要を超えると値段が上がるのは世の常なのでしょうが…

実際はどうなのでしょうか?

単純に収量だけとって他のワインと比べてみます。

シャンパーニュでは1ヘクタールあたりの収量はブドウ果重量で13000キログラムでワインに換算すると8300リットル程のシャンパン製造が認めれています。

法律では更にプラスアルファーが20バーセント位あるはずですから1ヘクタールあたり9000リットル前後はつくられているようです。

ちなみにブルゴーニュの特級シャンベルダン畑では3500リットル、シャブリは並級が5000リットル、特級が4500リットル、(しかも、最近ブルゴーニュでは規定量以上のプラスアルファーを認めない動きがあります。)ボルドーのグランヴァンが5000リットル位ですか。

安くて良くみかけるヴァン・ド・ペイの最も収量規制がゆるいエリアでも8000リットルほどです。

『シャンパンって、造り過ぎていません?』

これでは果実味たっぷりのシャンパンは出来る訳ありませんよね。
ヘクタールあたりの収量を押えなくては、凝縮した果実味のあるブドウ果汁は得られません。
料理でつくるソースと同じ原理です。
煮詰めることによって良いソースが出来ることと同じです。

通常シャンパンを飲んで美味しいと感じ、原材料となっている元の白ワインを飲んでみたくなったことがありますか?
「シャンパンになってこれほど美味しいのだから、元のワインもさぞや美味しいのだろう?」と思いを馳せることの出来るシャンパンこそ良いシャンパンなのだと思います。

ただフランスのすごいところは、小規模な生産者(ドメーヌ・シャンパン)いわゆるリコルタン・マニュピュラントR.M.)や協同組合、コーポレーティブ・マニュピュラントC.M.)などが活躍していることです。

彼らは畑仕事を徹底して行い、規定されている収量以下での低収量で栽培、収穫を行なっています。
当然美味しい訳です。

ですから、近年日本でも注目を浴びているのです。
それに比べて大手メゾンのジェネリッククラスの酷いこと。
確かに大手メゾンの最高級プレステージシャンパンは美味しいのですが、R.M.のプレステージシャンパンの2倍以上の値段はします。
そこには広告費用やネームヴァリューなどの経費が含まれていることを考えても高過ぎな感がします。
最高級品に値段の差はあっても味の差はないのです。
トコトンつくった最高級にあるべきは個性の差であって、質の差ではないことが本来あるべき姿だと思います。

小作農がブドウを栽培し、それを大手メゾンが買い取る仕組みがあり、あまり低収量が実現できにくい事情も分かりますが、大手メゾンはやり過ぎとの思いが拭えません。

社団法人 日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
岡本 利秋


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