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ワインの知識・ワイン辞典

コルクとワインの保存について 2

先日セラーの中に隠していた?シャンベルダン 87 ルイ ジャドー(写真左)が発掘されました。

10年程前に当店で仕入れたものです。確かに他にラトリシエール、シャルムなどの1987ヴィンテージグランクリュとして揃えました。飲んだ印象ではシャンベルタンの力が突出しており、「熟成することでどんなワインになるか?」に興味がありセラーの奥すみにおいてあったものです。

ワインの液面はミドルショルダー位とやや目減りしています。そしてラベル際にはワインが漏れた痕跡がありました。

まずい!キャップシールを切ってはずしてみますとコルク上面にうっすら液体がにじんでいました。コルクでワインを瓶内に密封できていない状態、すなわちコルクが役に立っていない状態を察知しました。ワインの瓶を空に向け中の状態をのぞくと「まだ十分に赤み」があり中味は完全に劣化していないようでした。ゆっくりコルクを抜くとかなりコルク自体は傷みが進んでいるもののまだ弾力はありました。ワインは?それが普通に飲めるのです。未だ熟成のピンクにはとどいていないもののあと数年もすれば恐らく熟成したかぐわしいブルゴーニュになりそうな感じでした。ギリギリセーフだったんですね。特級といえどもリコルクしないと20年はコルクがもたないと考えた方がいいのでしょう。冷や汗をかきましたがいい勉強になりました。オールドワイン恐るべし!

※太陽光が1番分かりやすいのですが(ワインに紫外線は禁物なので裏技なんですが)ワインを光に透かしますと中のワインが褐色(茶色)でなければ赤くルビー色に輝きます。若いワインであればあるほど美しいルビー色の輝きが強いのです。

逆に熟成し過ぎて茶色に変色退色したものは赤いルビー色を発光しません。

但し1980年代流行したマセラシオンアショ(高温抽出方法)「ブドウ汁をステンレスタンクの中で50℃を越える程の高温で煮ることでブドウ皮のタンニンを多量に抽出する方法」をとってつくられたワインは色が変化しにくく味の変化の方が先に進みます。それゆえ色調は相変わらず濃く黒い位なのですが味が全くダメな状態になっているワインが多々あります(関連→ワインの色)。

特にボルドーで隆盛を極めた醸造法です。薄いブドウ汁からでも色の濃いワインが出来るためワインの錬金術とも呼ばれたようです。ボルドーワイン凋落の大要因でもありました。その当時は一流のグランヴァンでも1haあたり8000Lほどのワインを平気でつくっていました。しかもそれが高値で売れていた訳ですから安くても濃い新世界のワインに押されるのも当然ですね(今のボルドーでは低温抽出が主流のようです)。「色は濃くても味が薄いだけのワイン」昔のボルドーでありがちでした。ですからボルドーワインに良い思い出があまりないと嘆かれる方は味覚の正しい方だと思います。

古いヴィンテージ同士のフランスワインと新世界のワインの飲み比べなどでフランスワインが負けるのは当たり前なのです。あれは比べたフランスワインがお粗末なだけなのです。

社団法人 日本ソムリエ協会認定 ソムリエ
岡本 利秋

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